すっぽんの甲羅が柔らかい理由

すっぽんは一見すると、普通のカメによく似ています。しかしよく見ると、甲羅に大きな違いがあるのがわかります。すっぽんの甲羅は普通のカメの甲羅より小さく弱そうで、触ると柔らかいのです。何故でしょうか?

すっぽんの甲羅は皮膚で覆われている

すっぽんは分類学上、カメの一種ですが、すっぽんの甲羅とその他のカメの甲羅には大きな違いがあります。

一般にカメの甲羅が固くて重く、隆起しているのに対し、すっぽんの甲羅は全体的に面積が小さく平面に近い形をしています。触るとすべすべして柔らかいです。

一般のカメの甲羅は、一番外側に角質甲板と呼ばれる皮膚が変化した硬い甲板で覆われています。角質甲板は脱皮するごとに新しく入れ替わります。角質甲板の下は肋骨が変化してできた甲羅の骨があり、骨甲板と呼ばれています。つまりカメの甲羅は肋骨が変化した骨なのです。

一方、すっぽんの甲羅には角質甲板がありません。また骨甲板も小さく退化しています。すっぽんの甲羅を覆っているのは角質のように硬いものではなく、皮膚なのです。皮膚に覆われているため、すっぽんの甲羅は柔らかいわけです。

すっぽんの甲羅が退化した理由とは?

すっぽんはほどんどを水中で過ごします。すっぽんが進化する過程で、軽くて水の抵抗が少ない甲羅のほうが、水中での生活に適しているという理由で甲羅が退化したのではないかと考えられています。

カメのように重い甲羅を持たないすっぽんは、水中でも陸上でも、驚く程速く動くことができます。その反面、硬くて重い甲羅で身を守ることができないため、普段は水底の砂の中に潜ったり、岩陰に隠れて過ごします。そして外敵に噛みつくことが唯一の護身方法になってしまったのです。

柔らかい皮膚で覆われた甲羅は皮膚病になりやすい

すっぽんは他のカメとは違い、皮膚がうろこで覆われていません。頭や足、甲羅の皮膚は弱く、皮膚病になりやすいのです。すっぽんの甲羅は水陸どちらにいても傷つきやすいため、家庭で飼育する場合は甲羅に白い水泡や斑点ができていないかをよく観察しましょう。皮膚病の原因はカビで、傷ついた甲羅の皮膚からカビの胞子が侵入し発症します。皮膚病を予防するためには、適度に日光浴をさせる必要があります。

すっぽんの甲羅は食べられるか

すっぽんの甲羅は柔らかいとはいえ、調理して食べることはできません。すっぽん鍋では甲羅を煮込みますが、それは甲羅の裏側についているコラーゲンを取りやすくするためで、どんなに煮込んでも甲羅そのものは食べられません。ただし漢方やサプリメントの原料として、甲羅を乾燥させ粉末にしたものが使用されることはあります。

まとめ

すっぽんの甲羅が柔らかい理由は、甲羅が皮膚で覆われているからです。他のカメの甲羅は皮膚が変化した硬い角質甲板で覆われています。

すっぽんの甲羅は水中生活に有利なように、水の抵抗の少ない、軽くて小さなものに退化したのではと考えられています。

皮膚に覆われているすっぽんの甲羅は傷つきやすく、皮膚病にかかりやすいので、予防のためには適度な日光浴が必要です。

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