天然のすっぽんと養殖のすっぽんの違い

すっぽんは昔から需要の高い食材です。精力増強や滋養強壮、そして美容のために、すっぽんを使用した色々な料理が人々に食されてきた歴史があります。すっぽんは天然と養殖があります。このふたつにはどのような違いがあるのでしょうか。

減少する天然のすっぽん

すっぽんは縄文時代から人々と関わってきた生物です。江戸時代に一般庶民が食べる人気の食材になるにつれ、だんだんと天然のすっぽんの数が少なくなっていきます。すっぽんの需要を満たすため、明治時代に入ると養殖が始まり、やがて天然のすっぽんに取って代わります。こうして天然のすっぽんは長年の間、食用のほかにも養殖用として捕獲され続け、外来種との交雑や、住処である川や沼の汚染により激減したのです。

現在、料亭などでも天然のすっぽんを提供するところは少なく、ほとんどが養殖のすっぽんを使用しています。天然のすっぽんは希少価値の高い食材といえるでしょう。

天然のすっぽんと養殖のすっぽんの違い

外見上の違い

天然と養殖のすっぽんは外見上、いくつか顕著な違いがあります。天然のすっぽんの色は濃い目の茶色が多く、個体差が大きいです。養殖のすっぽんは天然のすっぽんに比べ全体的に色が薄く、個体差があまりありません。すっぽんは爪のある指が3本、爪のない指が2本ありますが、天然のすっぽんは養殖のすっぽん比べ、鋭い爪を持っています。

性格の違い

すっぽんは臆病で、水底の泥に潜ったり、岩陰に潜んで過ごすことが多い生き物です。噛みつくと離さないといわれています。その理由はすっぽんの甲羅は軟らかく、ほかのカメのように甲羅で身を守ることができないためで、噛みつくことで身を守るのです。天然のすっぽんが養殖のすっぽんよりも気性が激しく、噛みついたり爪で引っ掻いたりすることが多いのは、外敵の多い自然環境の中で生き抜く手段といえるでしょう。養殖のすっぽんは外敵もほとんどいない環境で育つため、天然のすっぽんよりも性格が温厚です。

食用としての違い

すっぽんの味そのものは天然と養殖で大差はありませんが、食感は多少違いがあります。天然のすっぽんは運動量が多く筋肉が発達しますが、養殖のすっぽんは肉質が柔らかく、年間を通して安定した品質が保たれます。

天然のすっぽんは水温が15℃以下になる11月頃から4月頃まで冬眠します。このことから、冬眠前の脂肪を蓄える頃が天然のすっぽんの食べ頃といわれています。すっぽんは環境と餌により肉質に差が出ます。天然のすっぽんは時期により食感に違いが表れます。

食用になるまでの期間にも違いがあります。天然のすっぽんは5年程度、養殖のすっぽんは3~4年程度の成育期間を要します。この差は約半年間も冬眠する天然のすっぽんは、養殖のすっぽんに比べ成長が遅いことを表しています。

安全性

天然のすっぽんには寄生虫がいる可能性があります。特に生き血のように、加熱せずに飲む場合は、寄生虫やウイルスが死滅せずに残っている危険性が高まります。食中毒の可能性も否定できず、注意が必要です。

養殖のすっぽんは天然に比べ衛生管理が行き届き、寄生虫の心配が少ない環境で育ちます。生き血を飲む場合、衛生管理が徹底されている養殖のすっぽんのほうが安全性が高いといえるでしょう。自分で捕獲したすっぽんの生き血を飲む行為は控えるほうが無難です。生き血を飲みたければ、信頼のおけるすっぽん料理専門店で飲んでみるのが最も安全な方法といえます。

近年、お店で食べることができるすっぽんはほとんどが養殖です。どうしても天然のすっぽんが食べたいという人もいるかもしれませんが、食感以外の栄養や味はほぼ同じなので、天然にこだわる必要性は少ないのではないでしょうか。

効果・成分・危険性・相性