すっぽんの生き血を飲むリスクとは?

すっぽんの生き血は古くから滋養強壮、精力増強のために非常に有効であるといわれてきました。生き血はお酒と割って飲む方法が人気です。しかし生き血を飲むことは安全上、問題がないのでしょうか?ここではすっぽんの生き血を飲むリスクについて説明します。

すっぽんの生き血に寄生虫がいる危険性

すっぽん料理店では、生き血を提供しているところが多くあります。天然のすっぽんが激減している現在、料理店で出されるすっぽんは、ほとんどが養殖です。衛生管理の行き届いた状況で飼育されているすっぽんであれば、寄生虫やウイルスに感染する危険性は低いでしょう。養殖業者によっては寄生虫やウイルスの感染を未然に防ぐ目的で、すっぽんに抗生物質を与えるところもあります。

しかし天然のすっぽんは寄生虫、ウイルス、回虫を保持している可能性が非常に高く、生で食べるとそれらに感染する確率が高まります。したがって自分で捕獲したすっぽんの生き血を飲むこと、生で刺身として食べることは避けるべきでしょう。

生き血を飲むことにより感染する可能性のある病気とは?

マンソン孤虫症

すっぽんの生き血や刺身、カエル、マムシの生食により感染する恐れのある寄生虫症にマンソン孤虫症があります。この病気に感染すると、多くの場合、寄生虫が幼虫のままで体内を移行します。

感染後約1週間で発熱、全身倦怠感を覚え、2週目には皮下に幼虫が出現するといわれます。顕著な症状としては皮膚に腫瘤ができます。幼虫が脳や眼に侵入する可能性もあります。しかし自覚症状がない場合もあり、潜伏期間の長さは決まっていません。幼虫は体内で20年間も生存するとの報告もあり、外科手術により摘出する以外に治療方法はありません。

施毛虫症(トリヒナ症)

施毛虫症は動物の生肉を食べたり、生き血を飲むことで感染します。体内に入った施毛虫のメスは腸壁に潜り幼虫を産みます。幼虫は血流に乗り全身に運ばれ、筋肉組織に侵入します。そして筋肉の炎症が起こります。

感染すると1~2日で症状として吐き気、下痢、腹部けいれんが起こります。その後、1週間から2週間で幼虫が筋肉に入るため、筋肉痛、筋力低下、頭痛、むくみ、発熱、発疹などの症状が出ます。体内で幼虫が多く発生すると、心臓や脳、肺にも炎症が起きます。ただし感染しても、これらの症状が出ないこともあります。治療には抗寄生虫薬や鎮痛薬が処方されます。

食中毒

すっぽんの生き血にはサルモネラ菌が含まれている可能性があり、食中毒を起こすリスクがあります。サルモネラ菌による食中毒は潜伏期間が6時間から3日間くらいあり、発熱、下痢、嘔吐、腹痛が起こります。数日から1週間程度、症状が続きます。症状がひどい場合や長引く場合は入院しなくてはならないこともあります。免疫力の弱い高齢者や子供が感染すると、重症化しやすいため注意が必要です。生き血だけではなくすっぽんの刺身など、加熱しない肉を食べると食中毒のリスクが高まります。

リスクを回避するために

すっぽんの生き血、および加熱調理をしていない生肉を食べると、今回説明したような寄生虫の感染や、食中毒にかかるリスクが伴います。とはいえ専門店で提供されるすっぽんのコース料理には生き血や刺身が含まれていることが多いです。管理の徹底した養殖のすっぽんを使っているお店では比較的安全性が高いといえますが、それでもリスクがゼロというわけではありません。

安全性を第一に考えると、天然のすっぽんの生き血や生肉は食べないこと、料理店でもよく火を通したものを食べることです。生き血や生肉を食べ、何らかの症状が出た場合は、早急に医療機関を受診しましょう。

効果・成分・危険性・相性