すっぽんの名前について

「すっぽん」はユーモラスな名前がついている生物のひとつです。どうしてすっぽんと呼ばれるようになったのでしょうか。またすっぽんには多くの俗名があります。ここではすっぽんの名前の由来や別名などについてご紹介します。

すっぽんの名前の由来

縄文時代から人との関わりが判明しているすっぽん。「すっぽん」という名前の由来は諸説あります。

・水から出没するシュツボツが訛ったという説

・漢字で「寿都保無」と書かれ、すっぽんと読んだという説

・ポルトガル語で男性器を表わすDispositivoのspo(スポ)が由来という説

・すっぽんの鳴き声が「スホン、スホン」と聞こえるという説

どの説も明確な証拠はなく、このうちのどれかが正しいのか、あるいは別の由来があるのかは、はっきりわかっていません。

すっぽんの学名と英語名

すっぽんの学名はPelodiscus sinensisといいます。種として中国スッポンと亜種のニホンスッポンを含みます。亜種とは生物の分類学上の単位のひとつで、種の下に設けられたものです。尚、ニホンスッポンはキョクトウスッポン、シナスッポンとも呼ばれます。

ニホンスッポンは日本固有のすっぽんで本州以南、四国、九州に自然分布します。中国スッポンは中国大陸の東部から南部の沿岸部、台湾、朝鮮半島、インドシナ半島北東部に自然分布します。

すっぽんの英語名はChinese softshell turtleで、Chineseは中国、softshellは軟らかい殻、turtleはカメのことで、直訳すると「中国の軟らかい甲羅のカメ」という意味です。ちなみに中国ですっぽんは団魚(トワンユイ)、甲亀(チャコイ)、甲魚(チャユイ)などと呼ばれています。団魚は丸い魚、甲亀、甲魚は甲羅を持った魚という意味です。

すっぽんの別名

すっぽんは地方独自の多くの方言が存在します。

一例として、以下のものがあります。

・まる(大阪、京都、奈良地方)
・どんがめ(大阪、岡山南部、島根西南部の一部)
・だんがめ(京都の一部、兵庫の一部、岡山)
・こがめ(四国)
・とりがめ(島根中部)
・まがめ(広島の一部)
・くどがめ、どろがめ(大分)
・どち(愛知、岐阜の一部)
・どーつん(愛知東部)
・どんけ(三重の一部)
・がめ(富山、熊本)

このほかにも各地方にはさまざまな呼び方が存在します。

すっぽんは泥底に潜っているので泥亀(どろがめ)、川に住むので川亀(かわがめ)とも呼ばれます。泥亀に関しては、ドロガメ科ドロガメ属のすっぽんとは全く別の亀がいます。少しややこしくなりますが、泥亀をすっぽんと読むのは厳密には間違いで、すっぽんは「鼈」という漢字が正解なのです。すっぽんはスッポン科キョクトウスッポン属に分類され、泥亀ではありません。ただし小説で泥亀にすっぽんとふりがなが振られた作品が多く存在しているのも事実で、これはすっぽんを俗名で取り扱っているからではと推測されます。

まとめ

すっぽんは数多くの別名が存在する生物です。すっぽんは諺で「月とすっぽん」とたとえられるように、あまり良い扱いは受けていません。その反面、古代から人々の健康増進に寄与し続けた食材でもあります。人とすっぽんとの関わりは、今後も変わることなく続いていくことでしょう。

効果・成分・危険性・相性